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科名:ユリ科/属名:アマドコロ属
和名:甘野老(アマドコロ)/生薬名:玉竹(ギョクチク)・女萎(ジョイ)/学名:Polygonatum odoratum var.pluriflorum.
日本、朝鮮半島、中国に分布するユリ科の多年草、アマドコロ、および近縁植物の根茎を用いる。
ナルコユリの茎の断面は円柱形であるに反して、アマドコロは有角形である。
同属植物のナルコユリはアマドコロと似ているが、ナルコユリの根茎は黄精といい、精力食として知られている。
アマドコロは白い花を二個づつつけ、きれいなため観賞用として栽培され、切り花としても利用される。
根茎がヤマノイモ科のトコロに似て甘いのでアマドコロと呼ばれる。
「出典」 名医別録・神農本草経 上品(女萎)
「別名」 イスイ、萎蕤(イズイ、いずい)、葳蕤(イズイ)、委萎(イイ)、地節(ジセツ)、烏萎、萎香、玉馬、山玉竹、山鈴子草、山姜、竹七根、竹節黄、連竹、西竹、尾参など。
「性味」 甘/平
「帰経」 肺、胃
「成分」
粘液質(多糖体のオドラタン、フルクタン)、強心配糖体(コンバラマリン、コンバラリン)。
「効能」
滋養、強壮、強精、老化防止、美肌、色白、脳卒中、糖尿病、胃潰瘍の目的で用います。また、「本草綱目(ほんそうこうもく)」には中風による足の筋肉障害を取り除き、長く服用すると顔色もよくなり、つやがでてくると書いてあります。
「薬理作用」
滋陰潤肺、生津養胃。
強心作用・副腎皮質ホルモン様作用、軽度の血糖降下作用・潤腸通便作用。
「応用」
1.潤燥(滋潤)に用いる。
2.陰虚のものの感冒で、風熱咳嗽(黄痰・粘痰・咽痛・口乾などの熱象と発熱・悪風・頭痛などの表証をともなう咳嗽のこと。)・肺燥(肺陰不足)などの症状が現れたときに使用する。玉竹には清熱の力はないが、解表薬に配合し発汗と滋陰を同時に行うと解表薬による発汗のために脱水(傷陰)が生じるのを防ぐ。
3.リウマチ性心疾患に使用する。心拍数を増し・血圧を上げるので、頻脈・高血圧には使用しない方がよい。
4.虚弱体質に、一般的な滋補薬として使用する。ただし、効力は弱くおだやかで、清熱補益の効果がある。
5.冠不全による狭心痛に使用する。
「注意」
1.玉竹の滋補能力を過大に評価してはならない。“人参の代わりに用いる”、“人参・地黄の代わりに用いる”、“人参・黄耆の代わりに用いる”などと推賞した古人もいたが、みな過大評価である。実際には、滋補の効能は黄精程度(両者とも潤肺してやや滋補する)、潤燥の効能は麦門冬程度で、重症の気血両虚(気陰両虚)には役に立たない。
2.天門冬との比較:玉竹は清熱の力は弱いが、補陰しても消化機能を障害しない。天門冬は清熱の力が強く、補陰するが、しつこくて消化されにくい。
「処方例 」
加減葳蕤湯、玉竹麦冬湯、益胃湯。
「用法・用量」
玉竹の力は弱いので多量に用いる必要がある。一般に9~15グラム、強心の薬味として使用するときは30~60グラム。
「産地」
中国。
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